我々人類の未来の身体は、どのようになっているでしょうか。
近年、電子機器の使用は 我々の日々の手段として 当たり前のものとなっています。
米国の ある電気通信会社は Mindyという名前の3Dモデルを開発しました。
この Mindyという3Dモデルは 人類が 携帯電話、パソコン、その他あらゆるテクノロジーデバイスの 現状の使用傾向を継続していった場合に起こりうる 人体の解剖学的変化を投影したものです。
しかし我々が テクノロジーの恩恵にあずかる習慣を続けた場合、 本当に、このモデルが示すような変化を遂げるかどうか、そしてまた科学的に言って どれほど正確にその変化を投影しているかは分かりません。
しかしながら、現在はっきりとしていることは、携帯電話やその他のデバイスの過度の使用による 姿勢の悪さ、そして不健康な習慣から来る身体の痛みや不調を抱える人が増えているということは確かなようです。
例えば、首凝りや肩凝り(首や肩の張り、及び緊張)の増加は、一番顕著な例と言えそうです。
平均値として私たちの頭の重さは 約5kgほどあります。
携帯電話を使用するために 頭を肩の前方に傾ける角度は、 通常 45度から60度が一般的ですが、その角度によって、頭の重さは20kgにまで達します。
もっとイメージしやすい例に例えると、4歳の子供を毎日数時間もの間 、肩に背負っている(おんぶ)と同じ状態であると言えます。
その結果、首周辺に付着している筋肉の拘縮及び負荷が上昇して、頭痛、首の痛み、めまい、耳鳴りなど様々な症状を起こします。
また、解剖学的レベルでも、姿勢の悪さ、脊椎圧迫、椎間板ヘルニアなどの症状を誘発させます。そしてそのストレスが蓄積して症状を悪化させ終いには、お医者さんが、色々な病名を付けて、多種の薬の服用を義務付けられます。
それでは、具体的なからだの変化を観てみましょう。
この姿勢を続けることにより 肩の内旋、および前傾が起こり、その結果背骨の後湾(猫背)を引き起こします。
そして脊柱が異常な湾曲によるストレスを受けることにより 特定の筋肉群の弱体化、胸部圧迫、および、すべての関連内部構造の変容さえも,伴います。
携帯電話を手で持つというごく自然な行為は 肘を90度に曲げた状態を維持することであり、それはパソコンのキーボードを使う時と同じですが、
パソコンの場合と比べると、前腕や手首が何らかの物体に支えられていない点が異なります。
3Dのモデルによると、携帯電話を無制限に使用するなどの状態が長く続けば、尺骨神経痛を引き起こしたり、酷い場合には 肘後部の神経圧迫によって 一部の手指が曲がったままの状態になる可能性も考えられます。
各国のリサーチ会社の統計によると、我々は携帯電話を使用して、少なくても 1日に50回から100回ほどの検索を繰り返しているとの報告があります。
携帯電話というのは、低電力無線周波数送信機であり、その普遍化と広範囲にわたる利用のおかげで 、その便利さを我々は、最大限に感謝する一方で、我々の健康に及ぼす、さまざまな影響に対する研究も多数発表されています。
携帯電話の使用が 短期、長期において 中枢神経系に 放射線を与える影響により、腫瘍(悪性癌)を形成する 危険性を論文などで発表する医療関係者が各国にいます。
しかしながら現時点では、確実な関連を決定づける研究結果は得られていません。
世界保健機構からは 携帯電話の使用制限について 明確な規定を設けたり 推奨することは今現在まで公式に発令されていません。
しかしながら、注意力、集中力、気分、睡眠、学校や仕事での成果、その他、さまざまな分野に対する携帯電話の影響を調べた研究は多数あり、実際に これらの分野にマイナス(ネガティヴ)の影響を与えるであろうという大方の研究結果は出ています。
これらの機器の画面から発せられるブルーライトは、 不眠を筆頭に、 網膜、および水晶体細胞への悪影響により、 様々な障害をもたらします。
その上、これらの画面の使用による 子供の近視が現実に増えています。
人間の身体の仕組みとして、昼間は、自律神経の交感神経が優位になり活発になります。その反対に夜間になると体を休ませてエネルギーを蓄えるために副交感優位になります。
所が、夜になってもデジタル機器を使い、ブルーライトを浴び続けてしまうと、脳が睡眠モードになりにくくなり、睡眠のサイクルが乱れてしまいます。
その結果、自律神経の乱れにつながることから、体温や心拍、血圧、血糖値、ホルモンなどの生理機能にも影響が出て、糖尿病や高血圧、心筋梗塞などの生活習慣病のリスクが高まるとの研究論文が専門家から多数発表されています。
この現実を踏まえれば、米小児科学会が推奨しているように、2歳までの子供には これらの機器(携帯電話、パソコン)の使用を避けるようにすることが非常に重要であるはずです。
極端なことを言えば、この年齢層の子供には、 画面というものを一切使用させないことを薦める研究者の意見が多数あるという真実もあります。
モデルMindyによると、テクノロジーの利用に関して 現在の傾向が長期間続けば、時と共に 人間の脳は縮小の危機にさらされるだろうともいいきっています。
とはいえ、ここまで見て来た この恐ろしい未来予想や テクノロジーの過度の利用からくる結末に対し、その利用制限を学ぶ以外に、とても有効で価値の高い手段があります。それは日本の伝統手技療法 指圧です。
指圧とは、日本由来の手技で、健康の維持、増進を目的として、
身体全体のバランス調整に寄与し、さらに、姿勢を正し、筋肉や関節の柔軟性を増すなど、まさに第3の医学、予防医学そのものです。
心と体が(心身一如)バランスの良い状態を私たちは健康体といいます。心が病むと反射として、肉体のどこかに痛みや不快感として警告を発します。
また肉体的に無理(重度な負荷)、すなわちストレスがかかると心もやはり病みます。
この心身一如を常にバランスよい状態にコントロールするのが、指圧の役目です。
そして治療は、もちろんのこと、施術者は患者さんに対して、健康維持に役立つ簡単な生活習慣やメンタリティーを付けるための指導をします。この指導は、指圧療法の一番大事な仕事といえます。
例えば、
1, 直立と座位における正しい姿勢。
2, ストレッチと筋肉リリース。
3, 自己指圧や自己の身体についての認識。
4, 身体運動の促進。
5, 長時間に及ぶ仕事の場合に ストレッチ休憩を設けることや、そのような休憩時間にできる軽い運動の推奨。
このようなことを日常生活の習慣とさせます。
身体、精神、感情すべての健康を保つために、例えば、自然と触れ合うこと、バランスのとれた食事、食べすぎを避けることなども付け加えておきます。
運動、十分な休憩など、健康的な生活習慣を指導、促進することが不可欠です。
しかしながら、現代において テクノロジーを利用せずに生きることは困難であることは、誰もがうなずきます。
そもそも そのことが仕事(生活)の一部であり、また個人的、社会的生活の一部になってしまったという真実が現実にあります。
この現実に直面して最も基本中の基本は、 その使用時間を制限することであり、それができない場合は、常に姿勢を正すことの重要性を思い出すことかもしれません。
そして今を生きる我々の責任は 子供たちの良い手本となり、体にストレスすなわち負担を残さないテクノロジーの利用や、健康と予防医学についての正しい知識を身に着けて未来の後進を正しく導くことを実践することかもしれません。
指圧は 身体と感情 両面の健康維持において理想的な手技であり、健康という概念をグローバルな視点からとらえ、学べるものであります。
また指圧には副作用がなく、すべての年齢の人に施すことができ、様々な病気、痛み、気分(精神)障害などに対し、症状を緩和する治療ができます。
すなわち健康維持のために必要不可欠な自然治癒力を高める療法が、指圧です。
塾指圧プラクター 本部道場 塾長 小野田茂